売掛金の回収状況確認をExcel×AIで効率化する方法
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月末の売掛金チェック、毎回同じ作業を繰り返していませんか?
請求書を一枚ずつ照合して、入金済みかどうかを確認して、未回収分をリストアップして……。この作業、締め日が重なるタイミングに集中するため、他の業務を圧迫しがちです。特に経理担当者が少ない現場では、この確認作業だけで半日以上かかることも珍しくないのではないでしょうか。
この記事では、ExcelデータにAIを組み合わせて回収状況の確認を効率化する方法を、具体的な手順とプロンプト例を交えて解説します。
売掛金の回収状況確認、手作業とAIでどう変わるか
手作業の流れ(Before)
- Excelの売掛台帳を開き、当月分の請求リストを抽出する
- 入金データ(通帳や会計ソフトのCSV)を別シートに貼り付ける
- 請求番号・金額・取引先名を目視で照合し、入金済みかどうかを1行ずつ確認する
- 未入金の行に手動でフラグを立てる(セルの色変えや「未」の入力)
- 未回収リストを別シートにまとめ、担当者ごとに仕分けする
- 上長や営業担当へメールで共有する文章を手書きで作成する
この一連の流れ、慣れた担当者でも数時間程度かかる可能性があります。件数が多い月は、さらに時間がかかることが想定されます。
AIを挟んだ流れ(After)
- Excelの売掛台帳と入金データを整形し、AIに渡せる形式(CSVまたはテキスト)に変換する
- ChatGPTなどのAIに「未入金の行を抽出して、取引先・金額・経過日数をまとめて」と指示する
- AIが出力したリストを確認・修正し、Excelに貼り付ける
- 同じAIに「このリストをもとに、営業担当向けの共有メール文を作成して」と追加指示する
- 出力されたメール文を確認・送信する
照合と文章作成の部分をAIが担うため、担当者の作業はデータ整形・確認・送信の判断に絞られる可能性があります。うまく活用できれば、全体の所要時間が大幅に短くなることが期待できます。
ExcelデータとAIで回収状況を確認する3ステップ
ステップ1:Excelデータを「AIが読めるテキスト」に整える
AIに渡すデータは、できるだけシンプルな形式が望ましいです。具体的には以下の点を意識してみてください。
- 列名(ヘッダー)を日本語で明確に書く(例:「請求番号」「取引先名」「請求金額」「入金日」「入金金額」)
- 結合セルや装飾は事前に解除しておく
- 入金日が空欄の行=未入金、という判断基準をAIに伝えられるよう列設計を統一する
- データ量が多い場合は、当月分だけを切り出してから渡す
意外な落とし穴だったのが、列名の揺れです。「請求No.」「請求番号」「Invoice番号」のように表記が混在していると、AIが列の意味を誤認するケースがあります。まず社内でテンプレートを統一しておくと、この後の作業がぐっとスムーズになるかもしれません。
ステップ2:AIに回収状況の整理を依頼する(プロンプト基本形)
以下は、ChatGPTなどの汎用AIに使えるプロンプトの基本形です。
【基本プロンプト例①:未入金リストの抽出】
以下のExcelデータ(CSV形式)をもとに、入金日が空欄の行を抽出してください。
出力形式:取引先名・請求番号・請求金額・請求日・経過日数(本日を基準に計算)
経過日数が30日以上の行は「要確認」とフラグを立ててください。
[ここにCSVデータを貼り付け]
【基本プロンプト例②:共有メール文の自動生成】
以下の未回収リストをもとに、営業担当者へ送る社内共有メールの文章を作成してください。
トーンは丁寧かつ簡潔に。件名・宛先欄は「(担当者名)様」の形式で。
[未回収リストを貼り付け]
正直なところ、最初にうまくいかなかったのが「経過日数の計算」の部分です。AIに計算させると、基準日(「今日」)の認識がずれることがあります。プロンプトに「本日は2026年○月○日とします」と明示するだけで、出力の精度が上がる可能性があります。
応用プロンプト(業種別カスタマイズ・複数担当者への自動振り分け・督促レベル別の文面テンプレートなど)は、noteで公開しています。
ステップ3:出力を確認してExcelに反映・共有する
AIの出力をそのまま使うのではなく、必ず目視確認を挟むことが重要です。確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 金額の一致(AIが数値を誤読していないか)
- 経過日数の計算が正しいか
- 取引先名の表記ゆれがないか(「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」など)
- メール文の宛先・金額が正確に反映されているか
確認後、Excelの管理台帳に「AI確認済み」列を追加して記録しておくと、後から見返したときに作業の痕跡が残り、ミスの原因追跡がしやすくなります。
AIを使った回収確認でよくある失敗パターン
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 未入金の行が正しく抽出されない | 「入金日が空欄=未入金」という条件をAIに伝えていない | プロンプトに「入金日列が空欄の行を未入金とみなしてください」と明示する |
| 経過日数がおかしい | AIが「今日の日付」を誤認している | プロンプトに「本日は2026年○月○日です」と日付を明示する |
| 取引先名が途中で変わって抽出漏れが起きる | 元データの表記ゆれをAIが別会社と判断した | データ整形時に取引先名を統一しておく。VLOOKUP等で名寄せを先に実施する |
| メール文の金額が違う | 複数行のデータが混在し、AIが集計を誤った | 1取引先・1請求書単位でデータを分割してから渡す |
ExcelとAI組み合わせの強みと、使う前に知っておきたい注意点
組み合わせの強み
- 繰り返し作業の自動化:毎月同じフォーマットのデータであれば、プロンプトを使い回せるため、慣れれば作業の定型化が期待できます
- 文章生成の効率化:督促メールや社内共有文など、毎回似たような文章を書く手間が減る可能性があります
- 見落としの補助:目視照合では気づきにくい経過日数の長い案件を、AIが一覧化してくれるため、優先順位付けに役立つかもしれません
使う前に知っておきたい注意点
一方で、こういう懸念もあります。AIは「判断」をするのではなく「整理・要約」をするツールです。最終的に「この取引先に督促をかけるかどうか」「支払い条件の交渉をどうするか」は、人間が判断する必要があります。
また、売掛金データには取引先の個人情報・金額情報が含まれます。外部のAIサービスにデータを貼り付ける場合は、社内のセキュリティポリシーや利用規約を事前に確認することが前提です。機密性の高いデータを扱う場合は、社内導入型のAIツールや、データをマスキングしてから渡す方法も検討してみてください。
この方法が向いていないのは、取引先ごとに複雑な支払い条件が設定されていて、単純な「入金日の有無」だけで未回収を判断できないケースです。そういった場合は、条件の整理を先に人間が行い、AIには整形済みのシンプルなデータだけを渡す運用が現実的かもしれません。
よくある質問
ChatGPT以外のAIでも同じ方法は使えますか?
はい、テキストベースでデータを貼り付けて指示できるAIであれば、基本的な考え方は同じように応用できます。Microsoft 365 Copilot(ExcelやOutlookに統合されているもの)は、Excelファイルを直接読み込める点で相性がよいかもしれません。ただし、各ツールの機能・料金・データの取り扱いポリシーは異なりますので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
取引先が100社以上ある場合、AIに一度に渡しても大丈夫ですか?
AIには一度に処理できるテキスト量(トークン数)に上限があります。取引先が多い場合は、月別・担当者別などでデータを分割してから渡すと、出力の精度が安定しやすいです。また、100行を超えるデータはExcel関数(FILTER関数など)で事前に絞り込んでからAIに渡す方法も有効かもしれません。
AIが出力した未回収リストをそのまま上司に提出してもよいですか?
個人的には、必ず一度ご自身で内容を確認してから提出することをお勧めします。金額・取引先名・経過日数に誤りがないかを目視チェックし、「AIで整理・確認済み」という前提で提出する形が現実的です。AIの出力を確認なしで共有すると、数値の誤りが信頼問題につながる可能性があります。
督促メールをAIに作らせた場合、法的な問題はありますか?
一般的な社内共有メールや取引先への確認連絡であれば、AIが文章を補助する分には問題になりにくいと考えられます。ただし、法的効力を持つ督促状(内容証明郵便など)や、契約条件に関わる交渉文書の作成には、弁護士等の専門家への確認が必要です。AIはあくまで下書き・たたき台の作成を補助するツールとして位置づけてください。
ExcelのマクロやVBAと組み合わせることはできますか?
はい、組み合わせることで自動化の幅が広がる可能性があります。たとえば、VBAでデータの整形・CSV出力までを自動化し、その後AIにプロンプトで指示する、という流れが考えられます。ただし、VBAの記述自体もAIに補助させることができます(「このExcelデータを○○の形式に整えるVBAを書いて」という指示)。VBAに不慣れな方でも、AIを使って少しずつ自動化の範囲を広げていける可能性があります。
まとめ・次のステップ
売掛金の回収状況確認は、毎月繰り返される定型業務だからこそ、AIとの組み合わせで効率化の余地が大きい領域です。
- データの整形と列名の統一を先に行う
- プロンプトに「未入金の定義」と「基準日」を明示する
- AIの出力は必ず目視確認してから使う
この3点を押さえるだけで、最初の試みでも手応えを感じられる可能性があります。
まず試してほしいのは、今月の売掛台帳の一部(10〜20行程度)をCSV形式に変換して、本記事の基本プロンプトに貼り付けてみることです。小さなデータで動作を確認してから、全件に広げていくアプローチが安全かつ現実的です。
Excel×AI業務効率化プロンプト集|関数・集計・グラフ・エラー対処・マクロをnoteで公開中
本記事では基本的なプロンプト例を紹介しましたが、
noteでは業種別・シーン別に使い分けできるテンプレート集を公開しています。
コピペしてすぐ使える完全版です。
