過去の提案書から「刺さった表現」をAIで抽出する方法
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「あの提案書、どこに保存したっけ」と毎回探していませんか?
提案書を作るたびに、「以前うまくいったあの言い回しがあったはずなのに」と過去ファイルを掘り返した経験はありませんか? 受注できた提案書・好評だった企画書には、読み手の心を動かした「刺さる表現」が必ず眠っています。ところが、その表現は担当者の記憶か、深いフォルダの奥にしか存在しないことがほとんどです。
この記事では、過去の提案書からAIを使って「刺さった表現」を効率よく抽出し、次の提案に活かすまでの流れを具体的に解説します。
AI抽出で何が変わるか:Before / After 対比
手作業の流れ(Before)
- 過去の提案書ファイルを一つずつ開いて目視で確認する
- 「これが刺さったかも」という表現をメモ帳やスプレッドシートに手動でコピーする
- どの案件で使ったか・どんな文脈だったかを記憶や注釈で補完する
- 集めた表現を眺めながら、今回の提案に合うものを感覚で選ぶ
- 流用できそうな言い回しを手直しして本文に組み込む
この一連の作業は、提案書の数や分量によっては数時間〜半日程度かかる可能性があります。しかも「なんとなく覚えている」に頼るため、本当に刺さった表現を見落とすリスクも高いです。
AIを挟んだ流れ(After)
- 過去の提案書テキストをまとめてAIに貼り付ける(または要約テキストを用意する)
- 「顧客の課題感に訴えている表現」「具体的な数字・根拠を使った表現」等の抽出条件をプロンプトで指定する
- AIが条件に合う表現を一覧化・分類して返してくれる
- 返ってきたリストを確認し、今回の提案文脈に合うものを選ぶ
- 選んだ表現をベースにAIで言い換え・ブラッシュアップを依頼する
うまく活用できれば、抽出・整理にかかる時間が大幅に短縮できる可能性があります。もちろん提案書の量や質によって変わりますが、「探す→選ぶ→磨く」のループが格段にスムーズになるかもしれません。
過去提案書からAIで刺さった表現を抽出する3ステップ
ステップ1:提案書テキストを「読み込める形」に整える
AIに渡すテキストは、PDFや画像ではなくコピー可能なテキスト形式が基本です。WordやGoogleドキュメントで作成した提案書であればそのままコピー&ペーストできます。PDFの場合はAcrobatや無料のOCRツールでテキスト変換してから使うとスムーズです。
一度に渡せるテキスト量はAIツールによって異なります。長すぎる場合は、提案書を「課題認識セクション」「解決策セクション」「実績・事例セクション」などブロック単位に分けて複数回に分けて入力するとよいかもしれません。
ステップ2:抽出条件を明確にしたプロンプトを使う
ここが最も重要なポイントです。「刺さった表現を抽出して」という曖昧な指示では、AIは一般的な「良い文章の特徴」を返してしまいがちです。抽出条件を具体的に指定することが、質の高いアウトプットを得る鍵になります。
基本プロンプト例(1):表現の分類抽出
以下は過去に作成した提案書のテキストです。
次の3つの観点から「顧客に刺さりやすいと思われる表現」を抽出し、それぞれ箇条書きでリストアップしてください。
①顧客の課題・痛みに直接触れている表現
②具体的な数値・根拠を使って説得力を持たせている表現
③競合との違いや独自性を示している表現
抽出後、各表現に「どの観点に当たるか(①②③)」を付記してください。
【提案書テキスト】
(ここにテキストを貼り付ける)
基本プロンプト例(2):次の提案への転用チェック
以下の提案書テキストから、「別の提案書でも転用できそうな言い回し・フレーズ」を抽出してください。
転用する際に変更が必要な箇所(固有名詞・数値等)があれば【要変更】と付記してください。
【提案書テキスト】
(ここにテキストを貼り付ける)
より高度な活用(業種別の言い換え・複数提案書の横断比較・ペルソナ別の刺さりやすさ評価)については、noteで詳しく解説しています。
ステップ3:抽出結果を「表現ストック」として整理する
AIが返してきた表現をそのまま使い捨てにするのはもったいないです。スプレッドシートや社内のドキュメントツールに「表現ストック」として蓄積しておくと、次回以降の提案書作成がさらにスムーズになる可能性があります。
整理する際のカテゴリ例:
- 課題共感フレーズ(顧客の痛みに寄り添う表現)
- 実績・根拠フレーズ(数値・事例を使った表現)
- 差別化フレーズ(他社との違いを示す表現)
- クロージングフレーズ(決断を後押しする表現)
うまくいかないときの失敗パターンと対処法
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「良い文章の特徴」という一般論が返ってくる | プロンプトの抽出条件が曖昧で、AIが具体的な表現を特定できていない | 「①課題共感②数値根拠③差別化」のように観点を番号で明示する |
| 抽出された表現が多すぎて選べない | 絞り込み条件を指定していないため、AIが全文から広く拾ってしまう | 「最大10個に絞って」「最も印象的なものを優先して」と数・優先順位を指示する |
| 固有名詞や社名がそのまま抽出されて転用できない | 転用を前提とした指示をしていないため、AIが文脈を理解していない | プロンプトに「転用時に変更が必要な箇所は【要変更】と付記」と明示する |
| 提案書の後半部分が無視される | テキストが長すぎてAIのコンテキスト上限を超えている | 提案書をセクション単位に分割して複数回に分けて入力する |
意外な落とし穴だったのが、「刺さった表現を抽出して」という一言だけでは、AIは文章の良し悪しを自分で判断しようとしてしまう点です。AIは「どの表現が刺さったか」を知りません。あくまで「こういう条件の表現を探してほしい」という形で、人間側が基準を設計することが大切だと感じました。
AI抽出の強みと、正直なところ感じる限界
AI抽出の強みはここにあります
- 大量のテキストを短時間でスキャンできる:人間が読み飛ばしがちな中盤・後半の表現も均等に拾ってくれる可能性があります
- 観点の一貫性を保てる:「課題共感」「数値根拠」「差別化」など、指定した観点で機械的に分類してくれるため、人間の主観バイアスが入りにくいです
- 言い換え・ブラッシュアップまで一気通貫できる:抽出した表現をそのまま「今回の提案書向けに言い換えて」と依頼できるのは大きな強みかもしれません
一方で、こういう懸念もあります
- 「本当に刺さったか」はAIにはわからない:AIはテキストの特徴を分析しますが、「この提案書が受注につながった理由」は知りません。最終的な判断は人間が行う必要があります
- 機密情報の取り扱いに注意が必要:提案書には顧客名・価格・社内情報が含まれることが多いです。社外のAIサービスに貼り付ける前に、機密情報の匿名化・削除を必ず行ってください
- 長文の提案書はそのまま入力できないことがある:AIツールには入力できるテキスト量に上限があります。分割入力や要約が必要になる場合があります
この方法が向いていないのは、「受注できた理由が提案書の文章以外の要因(担当者の人間関係・価格交渉等)にある場合」です。テキスト分析だけでは拾えない要素があることは、正直なところ課題として残ります。
よくある質問
過去の提案書が少ない場合でも使えますか?
提案書が2〜3件程度でも活用できます。ただし、抽出できる表現の数・バリエーションは当然少なくなります。少ない場合は「表現の抽出」よりも「この表現のどこが良いか分析して」という使い方の方が有効かもしれません。提案書が蓄積されるほど精度と再利用性が上がるため、今から少しずつストックを始めておくと後々役立つ可能性があります。
受注できなかった提案書も分析に使えますか?
使えますし、むしろ有益な場合もあります。「刺さらなかった表現」のパターンを把握することで、避けるべき言い回しが見えてくるかもしれません。受注提案書と未受注提案書を比較分析するプロンプトも組めます。ただし、受注・未受注の理由が文章以外にある可能性も高いため、あくまで参考情報として扱うことが大切です。
提案書に含まれる顧客情報の取り扱いはどうすればいいですか?
これは最も重要な注意点の一つです。顧客名・価格・社内固有の数値などの機密情報は、AIに貼り付ける前に必ず匿名化・削除してください。「A社」「B社」のように置き換えるか、該当箇所を「【顧客名】」「【金額】」等のプレースホルダーに変換してから使うと安全です。社内のAIガイドラインがある場合は必ず事前に確認してください。
ChatGPT以外のAIツールでも同じプロンプトは使えますか?
基本的な考え方は共通して使えます。ただし、ツールによって入力できるテキスト量・出力の精度・日本語の自然さに差があるかもしれません。Claude・Gemini・Microsoft Copilotなど複数のツールを試してみて、自分の使い方に合ったものを選ぶのが現実的です。料金・機能の最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
抽出した表現をそのままコピーして使っても問題ありませんか?
過去の自分たちの提案書から抽出した表現であれば、著作権上の問題は基本的に生じないと考えられます。ただし、顧客固有の文脈に依存した表現をそのまま別の提案に使うと、「的外れ」に見えるリスクがあります。AIに「今回の提案の文脈に合わせて言い換えて」と依頼して、必ず文脈に合わせた調整を加えることをおすすめします。
ただし、提案書の中に他社の資料・調査データ・引用文が含まれている場合は、その部分の扱いに注意が必要です。著作権や利用条件の判断が必要な場面では、法務担当者や弁護士などの専門家に確認してください。
まとめ:まず1件、過去の提案書をAIに読ませてみてください
過去の提案書に眠る「刺さった表現」は、次の提案書の質を上げる最も身近な資産です。AIを使えば、その資産を掘り起こす作業が格段にスムーズになる可能性があります。
大切なのは「観点を明確にしたプロンプト設計」と「機密情報の匿名化」の2点です。この2つを守るだけで、抽出の質と安全性が大きく変わるかもしれません。
今日できる最初のアクションは一つだけです。過去の提案書を1件だけ選んで、この記事のプロンプト例をそのまま試してみてください。 抽出結果を見るだけでも、自分の提案書の「強みと弱み」が見えてくるかもしれません。
営業メール・顧客対応プロンプト完全版|商談前リサーチから値上げ交渉まで【コピペで使える】をnoteで公開中
本記事では基本的なプロンプト例を紹介しましたが、
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